六本木界隈

 台風22号が一荒れした朝、抜けるような秋空に誘われ、不本意に終わった六本木を再訪することにした。ところが好日と思っていたのは朝のうちだけで、 午後になると風が出て来て、次第に烈しくなる。先日の帰路のコースを辿って、地下4階の「六本木一丁目駅」までは順調に来た。だが出口が違ったのか、 先日とは異なる風景だ。西方寺も横川省三記念公園も何処やら見当がつかない(先日は東側出口から出たのに、今回は西側へ出たようだ)。空しく歩き 廻った末に、烈しい風に閉口して、帰ることにした。六本木駅前郵便局という所に出たので、駅のあり場所を聞くと、親切に地図をコピーしてくれた。
 東京メトロ南北線の六本木一丁目駅へ行くには、首都高速三号渋谷線の南側の細かい路地を西から東へたどらねばならぬ。郵便局でもらった地図 が手元にあるものの、自分が一体どこまで来たのか、心もとなくなって来た。外国要人の訪日でもあるのか、街角で戦闘服に身を固めた警官数人がたむろ している所へ出た。道を尋ねると、そばにいた私人の服装の人が、そちらに行くから一緒にゆきましょうと言ってくれた。これ幸いとついていく。このような にぎやかな街に住んでさぞ楽しいことでしょうとお愛想を言うと、いやいや税金が高くてという返事だった。着いた駅は南北線ではあるものの、麻布十番駅 だった(小生の尋ね方が「地下鉄駅へはどう行けば良いでしょう」だったのだ)。そこから武蔵小杉へ出て、新百合ガ丘で小田急に乗り換え、相模大野 へ帰って来た。(中村聰)

{参考図書}川崎明「若き明石 櫻井成明」、現代文学大系6「北村透谷 山路愛山集」(筑摩書房)、日本文学研究叢書「北村透谷」(有精堂)、 世界歴史大系「朝鮮史2」(山川出版社)、紀田順一郎「明治事件簿」、山本四郎「日本政党史(上)」、大宅壮一「明治の開幕 日本三代の映像」、 古川薫「志士の風雪」。  


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